自動車の転回中の事故(2)
Q
道路上で、単車と自動車との衝突事故が起きました。
具体的には、道路を直進していた単車(以下、「直進単車」といいます。)と、逆の方向に進行するため転回(Uターン)した自動車(以下、「転回自動車」といいます。)との衝突事故で、転回自動車の転回終了直後に衝突しました。
この場合の過失割合について教えてください。
A
基本、直進単車20%、転回自動車80%の過失割合です。
本基準での転回は、1回の操作で短時間内に完了するUターンのことを指します(スイッチターンによる事故の場合は、事故の状況等の個別事情に応じて検討することになります。)。
車両は、歩行者や他の車両等の正常な交通を妨害する恐れがある場合や、道路標識等により転回することが禁止されている場合には、転回してはなりません(道路交通法第25条の2第1項、第2項)。なお、転回の方法については、転回する30m手前から合図をしなければならないとされています(道路交通法第53条第1項、2項、道路興津法施行令第21条)。
この「他の車両等の正常な交通を妨害する恐れがある場合」とは、転回する車両のために、同一方向、又は反対方向からの車両等が一時停止、徐行、又は進路を変えなければ進行することができなくなるような状態のことと解されています。そのため、転回する車両は転回が完了するまでは、基本直進する車両に対して劣後の関係にあるものと解されます(もちろん、直進する車両にも、道路交通法第70条の安全運転の義務は存在します。)。
上記の基本割合は、転回自動車が転回を完了している場合を想定しています(転回自動車が転回する前と完全に逆を向いている、又はそれに近い状態になっていることから、追突事故に見えます。)。なお、転回自動車が直進単車の妨害になる可能性が全くない、又はほとんど無く、直進単車の前方不注視等が原因で事故が起きたような場合は、上記基本割合の対象外です。
以上を前提に、事故現場が転回危険場所・転回禁止場所か否か、直進単車の時速15km以上又は時速30km以上の速度違反の有無、転回自動車の合図なし、その他双方の著しい過失・重過失の有無等の個別事情により基本割合が修正されます。
以上
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