交通事故Q&A 単車と自動車との事故(自動車狭路からの右折)

信号機がない交差点の事故(単車直進、自動車狭路からの右折)


 信号機がなく、見とおしが悪い十字路交差点で単車(自動二輪車(原動機付自転車を含む))と自動車との衝突事故が起きました。
 具体的には、南から北(又は、北から南)へ直進する単車(以下、「直進単車」といいます。)と、西から南へ右折する自動車(以下、「右折自動車」といいます。)が衝突しました。
 この交差点は、南北の道路が明らかに広く、東西の道路が狭くなっていますが、一方に優先道路や一時停止などの規制は存在しません。
 この場合の過失割合について教えてください。

 基本、直進単車15%、右折自動車85%の過失割合です(明らかに広い道路とは、交差する道路の一方の幅員が他方よりも明らかに広い道路をいい、車両の運転者が交差点の入り口において、客観的にかなり広いと見分けられるものをいいます(路交通法第36条第2項、第3項)。)。

 右折自動車の徐行ないしそれに近い減速が前提となっています。
 一方で、直進単車についても、優先道路を通行している場合を除き、見とおしがきかない交差点においては徐行運転の義務が課されていることから(道路交通法第42条第1号)、ある程度の減速を行っていることを前提としています。
   ただし、狭路側の道路に一時停止の規制がある場合は適用外です。
  また、信号機が設置されている交差点であっても、黄点滅信号や赤点滅信号が表示されているだけの交差点は、信号機による交通整理の行われている交差点には該当しません。
 以上を前提に、直進単車の減速の有無、時速15km以上、又は時速30km以上の速度違反の有無、右折自動車の徐行(右折車としての通常の速度をいい、必ずしも法律上の要求される徐行でなくてよい。)、右折禁止違反、早回り右折(直進単車が右方車である㋺の場合)、右折自動車の明らかな先入(直進単車が右方車である㋺の場合)、既右折(直進単車が左方車である㋑の場合)の有無、その他双方の著しい過失・重過失の有無等の個別事情により基本割合が修正されます。
 右折自動車が交差点角ぎりぎりに早回り右折を行い、直進単車が交差点に達しない間に衝突した場合(直進単車が右方車である㋺の場合)は、直進単車の過失は著しく小さい又は過失がないものと考えられています。

 また、厳密には、多くのケースで右折車が先入となる可能性があるが、これらの全てを修正要素とする趣旨ではないものと考えられています。 

                              以上

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