人身・死亡事故/事業所得者・会社役員の逸失利益

 以下では、事業所得者の逸失利益を計算する際に生じる問題点をQ&A方式で紹介します。

 

Q1

 個人事業主である被害者が確定申告をしていない場合、基礎収入は無収入と認定され、逸失利益は否定されますか。


 設問のようなケースであっても、直ちに無収入と認定されるわけではありません。

 相当の収入があったと認められれば、賃金センサスの平均賃金額等を参考に基礎収入額を認定する例が多々見られます。

 

Q2

 個人事業を開業後、間もないうちに交通事故に遭いました。今回のように確定申告が行われていない場合、どのような方法で逸失利益を算定するのでしょうか。

 主に以下の方法が考えられます。

・帳簿、その他の会計資料から営業成績を算定し、それを年収に引き直す方法

・賃金センサスや、開業以前に就労して得ていた際の収入の水準等を参照にし

 ながら金額を認定する方法                 

             Etc 

 ただし、開業直後であるが故利益が低い、あるいは、一時的に利益が高いという可能性も考慮に入れ、慎重に判断する必要があります。

 

Q3

 人身事故の被害者が無免許事業を行っていた場合、(後遺障害)逸失利益は認められますか。

 事業・業務内容が公序良俗に反していない限り、逸失利益は認められます。

 ただし、確実性・継続性に対する疑問を考慮する場合がありますので、要注意です。

 

Q4

  事故により死亡した、個人事業者の基礎収入額はどのように算定されますか。

  また、青色申告控除がされている場合の取り扱いについても教えて下さい。


 通常、事故前年の確定申告所得額によって認定します。

 また、青色申告控除がされている場合、同控除額を引く前の金額を基礎とします。

 

Q5

  交通事故により、個人事業者である夫が死亡しました。

  事業収益の全額を基礎に逸失利益を算定することは可能でしょうか。


 事業収益が、資本利得や家族の労務の総体の上に形成されている場合には、事業収益の中に占める被害者個人の寄与部分が逸失利益算定の基礎となります。

 

Q6

 (死亡逸失利益算出の際に)実際には確定申告を上回る収入(所得)があったとの主張は認められますか。


 現実の収入状況が立証されれば認められます。

 特に、経営の状況、家族生活の状況などから、生活を維持するのが困難と思われるときは、賃金センサスなどを参考にする例もあります。

 しかし、裁判例の傾向は、かなり確実性のある立証を求める傾向にあるため、確定申告額に基づかない主張が採用されるのは容易ではありません。

 

Q7 

 会社役員の死亡逸失利益を算出する際、役員報酬の全額を基礎収入として良いのでしょうか。

 取締役員報酬の全額を基礎収入額とするのではなく、取締役報酬中の労務対価部分を認定し、その金額を基礎として算定します。
 ただし、事案によっては、取締役報酬の全額、又は、大部分を労務対価部分と認定することもあります(EX、会社代表者である被害者が死亡し会社が廃業したケース、被害者である代表取締役と会社は経済的に一体をなしているから会社から受けていた報酬はすべて労務の対価と認められたケースetc)。

 なお、本人の死亡により企業活動の利益を相続人が承継出来なくなるときには(いわゆるサラリーマン重役等)、役員報酬の全額が基礎になります。
                                         以上

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