人身・死亡事故 損益相殺

損益相殺

 

 損益相殺とは、被害者が事故を原因として一定の利益を受けた時は、その利益の額が損害賠償額から控除される場合があります。これを損益相殺といいます。

 その趣旨は利益の負担者がその限度で被害者の損害賠償請求権を取得(代位)するため、あるいは被害者が二重の利得をすることは公平の精神に反するため等と説明されています。(狭義の損益相殺)

 

 以下では、損害賠償額を計算する際に問題となる点についてQ&A方式で紹介します(損益相殺)。 

 

Q1

  加害者が被害者に支払った香典や見舞金は、損害賠償額から控除されますか。

A

 原則として、控除されません。

 ただし、以下の場合は、損害賠償額から控除されます。

・明らかに高額である(社交場の儀礼として相当な金額の範囲を逸脱する場合)

・賠償金の支払いであることが明らかな場合

                                  Etc

Q2

  労働者災害補償保険法に基づく保険給付は、損害額から控除されるのでしょうか。

A

 原則として、労災保険法に根拠をおく保険給付は、損害額から控除されます。

 一方で、同じく労災保険法に根拠をおく給付のうち、労働福祉事業から支給される特別支給金は、損害額から控除されることはありません。

 

Q 3                                          

 労働者災害補償保険法に根拠をおく保険給付は損益相殺の対象になり、同じく同法に根拠をおく特別支給金は損益相殺の対象にならないと聞きました。その理由について教えて下さい。

A

 労災保険法による保険給付は、保険者である国が、損害賠償請求権を被害者から代位取得するため、被害者がその分の損害賠償請求権を失うという考え方によるものです。

 一方で、特別支給金は、代位の規定の適用がないなど、保険給付とは性質が異なっているため、損害額からの控除は否定されています。

 

Q4 

 公的医療保険制度による給付(健保・国保等)を受けた場合、支給される損害額から控除されるのでしょうか。

A

 損害額から控除されます。

 ただし、実務的には、医療費負担に関して給付された分は損害賠償請求から除外する扱いとなるので、損益相殺の問題が論じられることはあまり多くないといえます。

 

Q5

 搭乗者傷害保険から給付を受けた分は、損害額から控除されるのでしょうか。

 A

 原則として、控除しません。

 ただし、保険料を加害者側が負担している場合には慰謝料を減額する方向で斟酌することができるとする下級審裁判例もみられます(このような場合でも、あまり大きな減額をしない考えが優勢です。)。

 

Q6

 損害賠償額を算定するにあたって、税金を控除する必要はあるのでしょうか。

A

 損害額から控除する必要はありません。

※確かに、損害賠償金は原則として非課税であること、一方で、事故にあわずに収入を得ていた場合は税金(所得税等)がかかるので、税金分を控除すべきとの考えは存在します。

  この点につき、最高裁は、損害額からの控除を否定しています。

 

Q7

 息子が事故にあい、加入していた生命保険から給付を受けました。この生命保険からの給付は損益相殺の対象になるのでしょうか。

A

 損益相殺として損害賠償額から控除されることはありません。これは、生命保険は、あくまでも被害者が負担した保険料の対価であることを理由とするものです。

                            以上

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