・カウザルギー、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の特徴
CRPS、又は、RSDは、四肢を受傷したり、ギプス固定など四肢の動き
が固定されたことをきっかけに、激しい痛みやアロディニア(わずかな刺激で
痛みが誘発する状態)、痛覚過敏などの症状が出て遷延する疾患です。
発生機序の説明としては、従来、侵害刺激に対して交感神経が作用して、血
管が縮小し止血しますが、傷が修復過程にあっても、なお、交感神経の亢進が
止まらず、末梢各部に栄養が補給されない状態が継続することによって、更に
疼痛が増悪する「悪循環説」が主流でした(Reflex Sympathetic Dystrophy・
RSDの名称はここから由来しています)。
しかし、1996年に国際疼痛学会が、必ずしも自律神経系の異常亢進のみ
では説明できない(シナプス結合異常等)症例があることから、これらを総称
して、CRPS(Complex regional painsyndrome)と呼び、これをタイプⅠ
(神経損傷のない従来のRSD)とタイプⅡ(神経損傷と関係するカウザルギ
ー)とに分類しました。
現在ではこの区分もあまり意味がないとして、CRPSに一本化されていま
す(国際疼痛学会2005年版診断基準)。
CRPS判摘用にあたって注意点として、臨床分野の診断基準と労災補償や
・自賠責認定の実務で採用されている障害認定基準の内容が異なっており、症
状・所見の有無をめぐって論争化がしやすいことです。国際疼痛学会の公表し
ている診断基準が一応の権威を持つといえますが、その内容を本邦で適用して
適切な結果が得られるかについての疑問もあり、厚生省CRPS研究班による
CRPS判定指標が公表されるに至っています。この内容は最新の研究成果と
言え、無視することはできませんが、同指針自体が、「(補償や訴訟など)で使
用するべきではない。また、重傷度・後遺障害の有無の判定指標ではない。」
と注記をしていることからすれば、これをそのまま、障害評価の基準とするこ
とはできません。
しかし他方では、労災補償・自賠責保険実務における障害認定基準は、カウ
サルギーについては、神経損傷の結果であると確認できることを前提とし、主
要な末梢神経の損傷の認められていないものをRSDととらえる発想といえま
すが、RSDの認定要件として、
① 関節拘縮
② 骨の萎縮
③ 皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
慢性期主要3症状の存在が、障害のある側(患側)と正常な側(健側)との比較
で明白になっていることを定めています。
この内容と前期臨床分野の診断基準とでは内容に相当程度の乖離があるため、
訴訟ではどちらの基準に従うべきかが争われることが多いです。裁判例の傾向
としては、労災補償・自賠責の認定基準を満たさなければCRPSによる重度
疼痛障害であることを否定すると固まっているわけではないですが、重度な疼
痛障害であるという判断に至る前提として、前記労災補償・自賠責実務の認定
基準の要件が重視される傾向と言えます。
以上
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