交通事故Q&A 自動車同士の事故(追越時の事故1)

追越禁止場所での事故

 道路上で、自動車同士の事故が起こりました。
 具体的には、道路を直進している自動車(以下、「被追越車」といいます。)を、被追越車の後方から来た自動車(以下、「追越車」といいます。)が、被追越車を追越し、前方に出ようとした際に被追越車と衝突しました。
 事故現場の道路は追越しが禁止されています(道路交通法第30条に規定の越禁止場所とは、道路標識等により追越禁止と指定された場所、道路の曲がりかど付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂、トンネル(車両通行帯の設けられた道路を除く)のほか、交差点(優先道路の場合を除く)、踏切、横断歩道、又は自転車横断帯、及びこれらの手前側端から前に30m以内の部分をいいます。)
 この場合の過失割合について教えて下さい。


 基本、被追越車10%、追越車90%の過失割合です。
 道路交通法第2条第1項第21号の追越しとは、車両が他の車両等に追いついた場合において、その進路を変えてその追いついた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいいます。
 上記の基本割合は、追越禁止場所でありながら、後方から来た追越車が進路を変えて、前方の被追越車の側方を通過し、更に進路を変更し、被追越車の前方に出ようとした時に衝突したことを前提としています(道路交通法第2条第1項第21号の追越しより制限されています。)。
  追越車は、被追越車の前方に進入するに際して、速度、及び進路、並びに道路の状況等に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならないところ(道路交通法第28条第4項)、この類型の事故の大半は、追越車の追越開始前・その後の走行方法に無理があったと考えることが出来るため、原則、追越車の過失が高くなります。

 また、被追越車が追越車の後方に追突した場合でも、追越車は被追越車が同一速度で進行することを前提に追越しを開始し、前方に進入するべきであるため、追突が追越しの直後である限り、原則、追越車の過失が高くなります。
 一方で、被追越車にも、追越車が追越しを終わるまで加速してはならないとされる他(道路交通法第27条第1項)、追越車が通行するのに十分な余地がない場合においては、できる限り道路の左側端に寄って進路を譲る義務が課せられています(道路交通法第27条第2項)。さらには、安全運転の義務の一環として、追越車の追越しを完了させる注意義務もあります。
  以上を前提に、被追越車の避譲義務(道路交通法第27条第2項)違反、道路交通法第27条第1項違反(被追越車が加速し、追越車が前方に進路変更ができなくなった場合)の有無、その他双方の著しい過失・重過失の有無等の個別事情により基本割合が修正されます。
 なお、被追越車が追越車の進行を故意に妨害し、その結果事故が発生したようなケースや、いわゆる二重追越し(前方の車両が他の車両等を追い越そうとしている場合に、さらにその前方車両の追越しを始めることをいいます。但し、前方の車両が追い越そうとしている車両等が原付自転車や自転車の場合はこの限りではありません。)のケース等は、上記基準の対象外です。

 その他、追越車が中央線を越えた場合も、原則、上記基準が適用されます。

 
                            以上

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