人身・死亡事故/学生・生徒・幼児等

 以下では、(人身・死亡事故被害に遭った)学生・生徒・幼児等の損害賠償を請求する場合に生じる問題点をQ&A方式で紹介します。

 

Q1

  交通事故により、後遺障害の認定を受けました。事故当時は学生のため収入はありませんでした。このような場合、逸失利益は認められるのでしょうか。

 逸失利益とは、交通事故に合わなければ得られたであろう利益のことです。
 今は収入のない学生も、将来就職し、収入を得る蓋然性がある以上、逸失利益は認められます。

 

Q2

 (後遺障害による逸失利益を算定する際における)幼児等年少者の基礎収入の算出方法を教えて下さい。

 幼児、生徒、学生の場合、原則として、学歴計・年齢平均賃金を基礎とします。

 ただし、大学生、又は、大学への進学の蓋然性が認められる者については、大卒・全年齢平均賃金を基礎とします。

 

Q3

 年少者の就労可能年数の始期について教えて下さい。

A 

 いまだ就労年齢に達していない者の就労可能年数の始期は、原則として18歳となります。

 ただし、大学生、又は、大学への進学の蓋然性が認められる場合は、22歳を稼働期間の始期とします。

 

Q4

 私の娘(10歳)が交通事故に遭いました。

 逸失利益算定の際の基礎収入額は、女性労働者の平均賃金によるのでしょうか。

 男女格差をなくすため、少なくとも義務教育卒業(※)までの年少女子については、全労働者(男女計)・学歴計・全年齢の平均賃金額を基礎収入額とするのが、最近の裁判例の傾向です。

※それを超える年齢の女子については見解が分かれています。

 

Q5

 大学への進学が決まっている被害者の場合、大学卒業者の平均給与額を基礎にすることは可能ですか。

 短大や大学への進学が確実視されている場合は可能です。

 ただし、大学卒業の平均賃金で算定する場合、稼働始期が4年間遅くなり、稼働期間も短縮されるため、18歳から稼働した時と比べて、請求できる損害額が少なくなることがあります。

 

Q6

 まだ就労していない年少者や学生が交通事故により死亡した場合、死亡逸失利益は認められるのでしょうか。

 原則認められます。

 基本的に、高校を卒業する18歳を就労の始期とし、賃金センサスによる全年齢平均賃金額を基礎として算定されます。

 

Q7

 年少者が死亡した際、就労期間に達するまでの養育費は、死亡逸失利益から控除されるのでしょうか。

 控除されません。

 かつては争いがありましたが、控除しないことで実務上決着しています。

 

Q8

 交通事故の被害者が学生の場合、休業損害の損害は請求できますか。

 原則として、請求できません。

 ただし、アルバイトによって現実に収入を得ている場合は、現実の収入を基礎として休業損害を請求することが可能です。

 なお、学生という身分の性質上、就労状況や継続性と、単位の修得・試験の負担などによる減収を考慮し、現実可能な就労予想日数を出して算定されます。

 

Q9

 交通事故に遭い、長期間、治療に専念した結果、内定先への就職の時期が一年遅延しました。この場合、就職の時期を遅延したことによる損害の請求は認められるのでしょうか。

 設問のケースの場合、就職していれば認められたはずの給与額が休業損害として認められます。

 本件では就職が内定しているので、就職先の給与額から損害額を推定することになります。

 

Q10

 子供が交通事故にあいました。既払いの学習費は損害に認められますか。

 認められることもあります。

 被害者の被害の程度、内容、年齢、家庭の状況等を具体的に検討し、その必要性が認められれば、一定の範囲内での請求が認められます。

 なお、請求できる学習費として、以下のものが挙げられます。

・学習進度の遅れを取り戻すための補習費(事故後に来てもらった家庭教師費 用等)

・無駄になった、支払い済みの授業料等(留年も含む)

・被害者が子供の養育・監護を出来なくなったことにより発生した子供の保育費等

 

Q11

  付添看護費用が認められるケースについて教えて下さい。

 原則として、医師の指示がある場合、あるいは、受傷の部位、程度、被害者の年齢等から必要かつ相当と認められる場合に認められる傾向にあります。

 例えば、重篤な脳損傷や脊髄損傷、上肢・下肢の骨折のため身体の自由がきかない状態の場合や、被害者が幼児・児童の場合に付添の必要性を認める例が多々みられます。

                             以上

慰謝料の増額に強い大阪の弁護士が死亡・人身(軽傷から重度後遺障害まで)交通事故被害の救済に尽力致します。死亡・人身事故被害者の損害賠償請求(死亡・後遺障害慰謝料、死亡・後遺障害逸失利益、休業損害等)を事故時から賠償金の回収に至るまで全面的にサポート。無料法律相談実施中(土日祝・夜間・無料電話相談も対応可)、弁護士費用特約(大多数の保険では300万円まで弁護士費用をカバー)にも対応。弁護士に依頼することによるメリット・費用等をわかりやすく説明しますのでお気軽にご連絡下さい(完全後払いも可)。

URL     http://www.united-law.com
Email   maeno@united-law.com
TEL     06-6309-0515